樹齢30年の真柏で、ジン作りに向き合います。弱った枝、幹を隠す枝——どれをカットし、どれをジンとして残すか。やっとこと刃物を手に、正面も樹形もまだ決めないまま、手と樹の対話が始まります。
鉢を前にしても、まだ正面は決めない。「ジンを作ってからのほうが、イメージが鮮明になる」——そう言いながら、まず枝の選別へと手が動き始めます。
完成形を先に描き、そこへ向かうのが「設計」だとしたら、これは違う。手を動かすなかで、樹が少しずつ語りかけてくる。盆栽の形は、問いと応答の往復のなかで立ち上がってくるのだと思います。
ジン作りとは、枯れ枝を「作る」作業ではありません。木がもともと持っている素材の力を、表へ引き出す行為です。
やっとこで繊維を軽く潰し、皮を引き剥がす。潰しすぎると木質が傷む——あくまでも表面だけ、軽く。4月、水を吸い上げているこの時期だからこそ、皮はすんなりと剥けます。樹齢30年という時間が木に刻んだものを、手が追いかけるように。
皮を剥く前に、切り込みを入れておきます。どこまで剥くかを先に決めておく。この一手間が、ジンの品格を決めます。
弱って間伸びした枝は、デザインとして使いにくい。それをジンとして残すとき、実用的な理由と美的な理由が重なります。捨てるのではなく、別の表情として生かす——そこに真柏の作法があります。
幹を隠していた枝を外すと、幹の面白い動きが現れます。ジン化の判断は、見せるものと見せないものを選ぶことでもある。どの枝を残し、どの枝をジンにするか。その答えが、樹形を決めていきます。
ジンの長さは最初、あえて長めに残します。そこからデザインを絞り込んでいく。頭の中でいろいろと樹形を想像しながら、樹と向き合いながら、少しずつ近づいていく——「非常に難しい」という言葉は、謙遜ではないと思います。
正解はまだ誰の手にもなく、この樹もまた、問われながら育ち続けている。
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