黒松の春の芽摘み / 花粉処理

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黒松の春は、6月の芽摘みに向けて樹を整える季節です。平松浩二が一本の樹を通して見せてくれるのは、芽折り・花粉除去・施肥・害虫への目配り——いくつもの判断が積み重なる、静かで丁寧な仕事。今この春に選ぶことが、夏の樹の姿をつくります。

7:20
Ayumi / Uma / Fune
基礎管理 芽摘み ★★ 黒松

強い芽を折るということ

春になると、黒松の芽が勢いよく伸びはじめます。その力強さを見ていると、つい「このまま伸ばしておけばいい」と思いたくなる。けれど平松浩二が手を伸ばすのは、まず伸びすぎた芽の先端です。根元からではなく、途中で——折る。

この動作に込められているのは、単なる調整ではありません。強い部分を抑えることで、弱い部分に力が回る。樹を枝の一本ずつで見るのではなく、全体に流れる力を見ている。強さを削ぐのは、別の場所の芽を生かすためでもある。そう気づいたとき、芽折りはまったく違う仕事に見えてきます。

花粉が舞う、春のなかで

雄花が出る時期には、黒松に触れるたびに花粉が舞います。これをすべて取り除くのも春の仕事のひとつです。固いうちは取りにくく、隣の芽を折ってしまうことがある。やわらかくなった頃に、丁寧に、残さず。

急ぎすぎず、かといって後回しにもしない。樹の状態を読みながら、タイミングを選ぶ——黒松の管理には、そういう判断がいくつも積み重なります。

春の仕事は、6月のための仕込み

施肥も、害虫チェックも、すべてが6月の芽摘みに向けてつながっています。黒松の管理において芽摘みは最も手をかける時期のひとつ。その仕事の精度は、今この春に樹をどれだけ整えておけるかにかかっています。

先を見て今を選ぶ。急かされることなく、けれど怠ることなく——春の管理には、そういう静かな先読みがあります。

見ていること、備えること

害虫への対応は、発生してから慌てるものではありません。アブラムシのチェック、ダニへの備え。春のルーティンとして、当たり前のように目を向けていく。葉の一枚ずつに目を向けるとき、そこにあるのは防除というより観察の習慣です。

よく見ていれば、変化に気づく。変化に気づけば、選択肢がある。松のダニは葉を黄化させ、その年の生育全体に影響をおよぼす。だから春に見る。秋に困らないために、今を丁寧に歩く。

春が終わるころ、先生の目はもう6月の芽摘みに向いています。樹と向き合う時間は、いつも少し先の季節と、今の手仕事の両方を生きているのだと思います。

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