樹齢80年、半懸崖の山採り黒松に芽切りを行います。上と下で芽の勢いが違うこの木に、弱い側を先に、強い側を5日後に——段階的に時間差をつけることで、冬の展示会での葉長を揃えていく。今日の判断は、半年先を向いています。
鉢の上にある枝は日をよく受けて、芽が旺盛に伸びる。半懸崖の下部は、同じ木でありながら少し翳って、少し控えめだ。まず、この差を静かに見つめるところから始まります。
「全部いっぺんに切る」という発想は、ここにはありません。上と下が同じペースで育っていないなら、切るのも別の日でいい——この観察が、すべての判断の起点になります。
6月20日、まず弱い下部の芽を切ります。そして5日後、強い上部の芽を切る。
この時間差は、冬の展示会のときに上下の葉長を揃えるための布石です。弱い側に成長の時間を余分に与えることで、強い側との差を埋めていく。判断はすでに、半年先の冬の舞台に向けて動いています。
5日か7日か——木の状態を見て、その年ごとに決める。マニュアルではなく、目の前の木が答えを持っている。
弱い枝の根元近くにある芽は、切りません。無理に切れば、翌年芽が出なくなるリスクがある。節を残しておけば、翌年また判断できる。一年待つことが、長く木をコンパクトに保ち続けるための手立てになるのです。
「今切れる」と「今切るべき」は、別のことです。急ぐことで、失われるものがある。
芽を切ると、木の吸水力が落ちます。だから肥料はすぐに取り除く。水も、表土がしっかり乾いてから。鉢を斜めにして水はけを補助することもある。
これは管理の手順というより、木の生理に沿った手当てです。今この木の中で何が起きているかを理解した上で、与えるものと引くものを決めていく。樹の声に耳を傾ける姿勢が、芽切りの後まで続きます。
この芽切りのすべては、冬の展示会につながっています。葉長の揃った黒松を舞台に乗せるために、6月に何をどの順序でするか。目標から逆算して、今日の判断が生まれる。
80年の山採りが、半懸崖のかたちで舞台を待っています。その準備を、梅雨の庭でひとつひとつ積み重ねていく——こうした日々の仕込みもまた、旅の一部なのだと思います。
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