イチイの芽摘み

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2年前に針金で形を作ったイチイに、5月の第1回目の芽摘みを行います。強い先端を止めて懐枝を助け、黄ばんだ古葉を落とし枝元から新芽を促す。維持とは固定ではなく、樹と対話しつづけること——そのことを手で確かめる作業です。

8:33
剪定 芽摘み 葉透かし ★★ 一位

先端を止める、その理由

5月のイチイは、静かに見えて内側で急いでいます。黄緑の新芽が先端から勢いよく吹き出し、昨年の濃緑、その前年の茶がかった葉——三世代が混在するなかで、樹は今まさに旺盛な時期にある。

そこへ、まず強い芽から鋏を入れていきます。弱い芽はまだ触らない。最初に止めるのは、力の強い先端です。なぜか。強い先端を残したままにすれば、樹の力は外へ外へと向かっていく。内側の懐枝は次第に陰になり、光を失い、やがて力を失う。先端を止めることは、幹元・枝元の弱い芽に出番を与える行為です。外へ広がろうとする力を、内側へと引き戻す。

余剰を落とすことで、残ったものが輝く

黄ばんだ古葉を迷わず落とす。三本以上が同じ箇所から出た枝は、中央を切って二股に整える。輪郭から飛び出した枝は、次の若い芽で切り替えてコンパクトさを保つ。一連の作業に共通するのは、余剰を取り除くことで残ったものの力が増すという考え方です。

古い葉が落ちた葉元からは、また新しい芽が吹いてくる。除去は枯らす行為ではなく、更新を促す行為です。植物自身が不要なものを落としていくプロセスを、人の手で丁寧に進めているだけ——そう思うと、鋏を入れることへの迷いが少し晴れるかもしれません。

維持という、動きつづける仕事

形を「維持する」——2年前に針金を掛けて作り上げた輪郭を守りつづけることが、芽摘みの目的です。でも維持とは、固まったものを守ることではありません。

樹は止まらない。成長に合わせて輪郭を整え、懐を充実させ、強弱のバランスを調整しつづける。維持とは静止ではなく、樹との継続的な対話です。形を守るのではなく、形と対話しつづけることで、はじめてその形は生きつづける。

一芽ずつ確認しながら手を動かすこの時間が、単なるメンテナンスではなく、樹との関係を少しずつ深めていく時間でもある——そのことに気づくのは、たいてい作業が終わった後のことです。

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