大品黒松の幹曲げ #1 鉄筋を使った幹曲げ

上級:舟 -Fune- 幹曲げ / 枝下げ

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鉄筋を使って黒松の枝を下げる——支点の選び方から、割れ目が入ったときの読み方まで、一つひとつ判断の積み重ねです。どこに力をかけるかで、枝の表情はまるで変わります。鉢の中で二十年を過ごした木が、どれほどしなやかに応えるか。

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Uma / Fune
幹曲げ ★★★ 黒松

力をかける場所が、形を決める

鉄筋を使った枝下げは、道具の力でどうにかなる作業ではありません。どこに支点を置き、どこに力をかけるのか——その判断一つで、枝はしなやかな曲線を描くか、不自然なコの字になるかが変わります。

枝元で下げ、枝先で上げる——この一点が、チューブをどこに当てるか、鉄筋をどちらから入れるかを、すべて決めます。道具は多くても、思考の軸はひとつ。

割れ目は、止まれのサインだ

枝を下げていくと、やがて軋む音がして、小さな割れ目が入ります。はじめて聞く人は、ここで手を止めてしまうかもしれません。でも、それは破綻のサインではありません。鉄筋の位置を枝先へ移すタイミングを、枝みずから告げているのです。

割れた部分にカットパスターを塗り、鉄筋を枝先側に移して、段階的に続ける。音と目で状態を読みながら、次の手を打つ。恐れずに動くことと、折れる一歩手前を見極める繊細さを、同時に求められる作業です。

二十年が、一日の仕事を可能にする

「鉢の中で二十年近く養成した木は、曲げやすい」——時間をかけて育てた樹が、後の仕事に大きな自由をもたらします。急いで形を作ろうとしなかったこと、その積み重ねが、今日のひと動きを生んでいます。

釘を打つことも、割れ目を作ることも、先生は迷いません。「このくらいの傷は、自然界に比べれば何も問題ない」——小さな傷をためらうより、樹形という本質を優先する。その覚悟は、二十年間の時間を知っているからこそ、静かに出てくるものだと思います。

勇気を持って下げる。そして折れる一歩手前を読む。その両立のなかに、技の核心がある。

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