大品黒松の幹曲げ実践

上級:舟 -Fune- 幹曲げ / 枝下げ

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樹齢八十年を超える黒松に、三代にわたって受け継がれた道具で幹曲げを施していきます。腰高な樹形をよりコンパクトに転換するために——「成功するかどうかはわからない」という言葉から、先生は幹と向き合います。樹形が定まるのは、次の冬のことです。

Fune
幹曲げ 針金かけ ★★★★★ 黒松

この木に、何を見るか

樹齢八十年、あるいは百年。山の中で風雨を受けてきた黒松は、鉢の上でも静かな圧を放ちます。腰高に育ったその幹は、文人木として仕立てることもできる。細く伸びた姿には、それはそれの美しさがある。

それでも先生は、別の可能性へと手を伸ばします。幹を大きく抑え込み、コンパクトな樹形へと転換する方向へ。「成功するかどうかはわからない」——その言葉から、作業が始まりました。

三代目の道具が語ること

幹曲げに使うのは、祖父が作ったジャッキ式の機械です。父を経て、いまこの手にある。道具は古びているかもしれない。けれどその扱い方に、迷いはありません。長い時間の中で積み重ねられた判断が、使い方そのものに染み込んでいるからです。

技術とは手順の集積ではなく、継承の蓄積である。道具を受け継ぐとは、先人の判断ごと引き取ることであり、その意味でこの機械には、三代分の時間が宿っている。

一箇所に、負担をかけるな

幹を曲げる際、先生は支点を固定しません。少しずつずらしながら、荷重を分散させていく。「一箇所への集中を避ける」——この言葉は物理の話でありながら、同時に何かもっと大きなことを指しているようにも聞こえます。急いで結果を求めない。一点に力を集中させない。そうすることが、樹と作業者の双方を守るのだと思います。

そして思い切って曲げる。「下げすぎかな」と感じるくらいまで。慎重さと大胆さが、同じ動作の中に同居している——この二律背反のような手さばきに、幹曲げという作業の核心がある。

完成を約束しないことの、誠実さ

シャリが絡んだ枝が裂けることは、想定の内である。松にとって少々の裂けは問題にならない——その言葉に、樹への深い信頼が滲んでいる。傷はパテで処置し、次の冬に改めて方向を見定める。今日の作業で完成するわけではないし、完成を急ぐ必要もない。

「成功するかどうかはわからないが、やってみる」。この姿勢こそが、百年を生きた素材と正面から向き合うということなのだと思います。問いを保ったまま、手を動かし続ける——その先に何が立ち上がってくるのか、次の冬にしかわからないのです。

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